終身企業年金が減額される? 日航問題が波及するか
日本航空の経営危機問題。もう何年やってるのでしょうかね。昨日今日の話じゃないと思うのですが。
ひょっとしてご存じない方のために簡単に言いますと、いま日本航空は経営危機です。追加融資がなければ倒産の危機です。で政府が資金援助(追加)しようとしていて、銀行もこれがなければもう追加は無理なんて言っているのですが、資金援助のためには企業年金を(も)さげないとダメといっているのです。
一応、企業年金問題だけを取りあげますけど、一般的に皆さんはどう思っていらっしゃるのでしょうかね。
「親方日の丸から来た企業はダメだな、めちゃ有利な企業年金なんか下がって当然」
こんな風に思ったりする人もいるんでしょうね。
確かに有利な終身年金です。今の低金利にそぐわない金利と、寿命が延びる分で経営を圧迫します。
しかしね、年金制度なんて、そう簡単に変えて良いものじゃないと思う。
経営を圧迫するのなら、5年くらいかけて制度を見なおして協議して、で5年くらい掛けて移行させるのが筋何じゃないでしょうか。しかもそれはあくまでも経営側から受給者への「お願い」にしかならない。しかも日航の場合、割と最近年金制度を改定しているし。そんなにころころ変えて良いものじゃないでしょ。
少なくとも企業年金に対する一定の保護がなければ私はファイナンシャルプランを作れません。
経営側が簡単に「年金が経営を圧迫しているので下げます」と言えるものじゃないと思いますし、年金って守られるべきものじゃないのか、だから税制の優遇もあるんだろ、と言いたいのです。
個人的には、国の強力な指導の元に育ってきた企業、組合が強すぎた企業の良い面・悪い面まとめて一掃するのなら、一旦倒産させなきゃダメなんじゃない? なんていう気持ちも無くはないのですが、まあ組合が一つ一つ権利獲得をしてきた歴史があるのも事実。
もし経営危機になったら年金は簡単に下げて良いということになったら、他の企業にも波及しそうですし、年金に留まらず給料もどうなるか。労働者保護という観点はないのでしょうか。破綻する時でも2割減(※)くらいの歯止めがないと。
※つまり8割の資産は何らかの形で資産保護を必要とするということ
(本来、給料原資も年金原資も100%保護されるものですから、組合系の人には、何を企業よりのことを言ってるんだと言われそうですが・・・・でも実際問題給料カットなんかあちこちで実施されているわけですし。言いたいのは歯止めの基準がないとなし崩し的に広がってしまうと言うことですのでご了承下さい)
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少し前には賃金が大きく下がることはありませんでした。
少し前にはリストラという言葉はありませんでした。
少し前には労働者の首切りは最後の手段でした。
少し前には破綻することがないと言われた銀行がどんどん破綻する時代です。
日航の改善案が他の企業へ波及することになるか、前例になるのかどうか、特に終身年金を採用している企業について、ライフプラン専門のFPとしてはかなり注目しております。(国交省と厚労省の綱引きがあるのかどうかもちょっと興味津々、なのであります)
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