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2007/11/02

農地(生産緑地)の相続でさあ大変

土地という資産だと思っていたのが負債かも、という話です。だって資産だと思ったのに相続するだけで出費が増える、しかも、半端じゃない額の税金出費、土地を半分手放さないといけない!なんてことになるのですから。負債と同じです。だからファイナンシャルプランナーの出番な訳ですね。最近問い合わせが増えています。

生産緑地という農地があります。これは、本来宅地並みの課税をされる土地が農地課税に減免されている土地。固定資産税額は1/30とも1/60とも言われています。んでその減免の代わりに30年間農業を続けてね、というのが生産緑地。

私の駐車場の裏が畑で、いつも眺めています。今は茄子とトウモロコシが終わったところです。収穫が終われば3日くらいで整地され次の作物が植えられグングン育っています。今度は何が植えられるんだろう?
もの凄く意欲的な農家の方のようです。


さて、この畑が「相続」なんてことになるとどうなるのかなぁなんて考えてしまいました。固定資産税と相続税の計算です。

この畑、広さは40m×60mくらい。700坪強、戸建て住宅だと10〜15軒は軽く建つような土地です。
路線価を調べると、1平方mあたり15.5万円。

●まず毎年の税金。

この土地の現在の毎年の固定資産税と都市計画税を概算すると、
   もし宅地なら240万円、
   農地なら   6万円です。(a)

●そして、相続。

もしこの土地が畑でなく宅地だったら相続財産3億7200万円。
でね、都市部の土地は原則「宅地並み課税」になってるんです。

もし子供が3人で法定相続するとするとこの土地だけで6700万円位の現金が必要になります。おそらく、自宅や預貯金があるでしょうから、相続税7000万円超えるでしょう.

で、これが生産緑地の指定を受けているかどうかというのが問題になります。
先の(a)の恩恵を受けているのならこの指定を受けている可能性が非常に高い。でも生産緑地指定を受けていると30年間農業を続けなきゃいけない、その代わり税金が安くなる、こういう制度です。平成4年の大改革。

相続税7000万の現金が相続財産にあればいいですが、そうでなければ、物納かまたは土地を一部売って現金に換えないといけないと言うことになりますね。土地の1/4を手放さなきゃいけない。

もっと問題があったりします。
例えば長男とか奥さんが農家を継いだけれど、やはり、農業止めたって言う時です。

「親父が死んだし駐車場にでも」・・・これが難しいんです。

農業委員会通さなきゃいけないし、税金もどかっと増える。

先の軽減された税金を利子をつけて払わなきゃなんてことなんです。1/4の土地では足りなくて、半分を手放さなきゃという事態。

生産緑地にした以上はしっかり農業しろ! そうでなければ税金払えっていう政策なのですね。

戦後すぐの農地改革は大地主の土地を取りあげて小作人に分けるということを一斉にやりましたが、今回のは、個人の相続時にちょこちょこ取りあげていくという政策に等しいと思います。

農家の立場で考えると、(この方の農業経営がどのようなものかわかりませんが)食べていくので精一杯くらいだと、誰かが農業を継いでもやはり食べていくのが精一杯のはずで、貯蓄があまり無くて、農業を継がないのなら土地を手放さなきゃ相続税を払えない、なんてことになります。

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農地の税率軽減が悪だという意見を言う人もいます。固定資産税が約50分の一。農家優遇だろって。

工業製品の場合の主要コストは(材料費+人件費)ですけど、農業生産では家族生産なら人件費掛かっていないので、固定資産税の占める割合がめちゃめちゃ高い。

京都の伝統野菜「賀茂茄子」、この値段が50倍になったら買いますか? 売れますか?
米10kg=4000円。これが都市部の田圃でできた米だと10kg=20000円でないと赤字になる。それだけ付加価値の高いものがつくれるのか?

これが日本にとって良いことなのかどうかは私には分かりません。
ただ言えることは(1)農業を続けるにせよ、止めるにせよ大変だ。
(2)都市部の宅地は、受給に関係なくこれから増えていく。

平成4年からのこの宅地並み課税、そろそろ親御さんが年取ってきて今後どんどん困る農家が増えていくと思います。そして、それに気づいていない人が多いと言うのも問題です。だから私のようなファイナンシャルプランナーが必要とされていく時代になりました。

ちなみに平成4年の改革で、30年間農業続けられないと思った人は農業をやめて宅地にして、アパート・マンションを建てた人が多い。で、15年経った今、空き室だらけで、不動産屋が言ってたようには収益が出ないどころかローンの穴埋めで貯金がどんどん減っていってるなんていう家庭も多いはず。こちらもファイナンシャルプランナーの出番です。

冒頭に書きましたが、土地という資産が実は支払いの必要な負債に変わるという点、おわかりいただけたでしょうか。資産を守るためのマネーカウンセリング相談は右上のリンクからどうぞ。

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個人的にはね、宅地に変えて収益が上げられるのは駅前とかの条件の良い土地くらいなのでね、そうでない土地まで宅地並み課税しているのはおかしいんじゃない?なんて思いますよ。

資産運用どころか資産を守ることすら困難な都市部農家のお話しでした。個別の事情はそれぞれだと思いますので詳しくはご相談ください。

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